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パリ〜ブレスト〜パリ2023前日に振り返るPBP2019年のバイク

この文章は2020年の初夏、ロックダウンの時期に書いたもの。パリ〜ブレスト〜パリで見た自転車についての覚え書きにしようとしたが、結局書き終えることができなかった。このまま埋もれさせても良かったのだが、2023年のPBPが目前に迫り、現地にも行く準備が整ったところで、せっかくなので途中のものだが載せることにします。今年のPBP取材の成果はLa routeに記事を寄せる予定ですのでお楽しみに。こぼれネタなどは、Arenbergでもキャッチアップするかもしれません。

2023.08.19

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外出自粛の期間、自分でもびっくりするぐらい外に出ず(6日の間、軒先にしか出なかった)、その間はZwiftでペダルを漕ぎ、フィットネス的には不満はなかったのだが、いかんせんたっぷりある時間は夢を見させてくれる、というわけでドリームバイクの夢想に駆られていたのだった。

自転車としてはオールロードにいつも惹かれている。しっかり一台作るなら、ある程度速く走れて、それでもマルチパーパスで頑丈なバイク、というのがいい。具体的には、キャリアダボやフェンダーダボのある、35cくらいまでのタイヤが入るロードバイク。素材は、、やっぱり金属がいい。そんなことを思いながら、いろいろとハンドメイドのブランドを調べているうちに、とある一台とぶつかった。それは、SevenのEvergreen。

そしてその瞬間、2019年夏のフランスへと記憶がフラッシュバックする……パリ〜ブレスト〜パリ(PBP)で、意外なほど目にしたのがそのチタンバイクだったことを思い出したのだ。そしてPBPを走るバイクは、ある意味でオールロードの究極と言えるかもしれない、とも。

元々あまり機材には明るくなくあまりこだわりもないので、PBPでもあまりパーツとかにこだわりなく目についたバイクを撮らせてもらったのだった。でも最高峰のイベントのために世界中の人たちが準備してきたバイクはやっぱり面白い。いくつか見てみよう。


Seven Evergreen SL

会場で最初に目にしたのがこのチタンバイクだった。シンプルにかっこいい!と思い撮ったもの。SLグレードで丈夫そう。トピークのポンプはカラーマッチしていて統一感がある。ヘッドはクリスキング、クランクセットは使い込んだアルテグラ、ペダルはSPD、サドルはBrooksのカンビウム。ハブダイナモはブルベらしさがある。機械式ディスクブレーキにクイックリリース式。レバーはXT。前輪のリムはPACENTIというブランドのもので、29erとある。後輪はHED。どちらもスポーク数は多い。やはり1200kmを走るPBPでは、丈夫さと乗り心地の良さが大事ということか。勝手ながら、オーナーはアメリカから来たマウンテンバイクも楽しむマルチライダーかなと想像。フロントとサドルバッグが良さそうだけど、ちゃんと写真撮っていないのが残念……。

馴染みのないPACENTIというブランドは、テネシー州チャタヌーガに拠点を置くパーツブランド。そのまんまBrevet Wheelsというライナップがあったり、グラベルやシクロクロス用のリムなども作っている。サポートアスリートにはイギリスのシクロクロスU16ナショナルチャンピオンのゾエ・バックステッドの名前も。そう、あのマニュス・バックステッドの娘。シクロクロスを走る姿は、父のダイナミックな走りを彷彿とさせる。ちなみに姉のエリノアは、すでに2度ジュニアのロード世界選TTで3位に入り、今季から若干18歳にしてトレック・セガフレード入りしている。先日練習中に事故に遭ったニュースが入っていたが、早期の復活を願うばかり……。


THOMPSON

すごく英国風のたたずまいに惹かれた一台。と思っていたのだけど、THOMPSONはビルダーのコリー・トンプソンがワシントン州オリンピアで一人で作り上げるバイクブランド。ベルギーブランドにもトンプソンがあるが、こちらはアメリカ。ランドナーからMTBまでなんでも作るようだが、こういうロングライド向けのバイクが得意のよう。

ダブルレバー、スチールフォーク、ベル、フロントバッグ、キャリアといかにもなツーリングバイクの趣。サドルはレザーなのであろう、雨の中でカバーがかけてある。フェンダーの深さはちょっとイギリスっぽくて、どんな雨でも足元から濡れることは無さそうなくらい。フレームポンプはSILCAのインペロ。シートチューブのボトルケージに干渉しない位置に装着できる。ペダルはロードタイプで、クランクセットはTHOMPSONでよく用いられているルネ・エルスのダブル。懐古的なスタイリングながら、モダンにまとめられていてかなり趣味のよい一台と感じた。


BOMBTRACK Arise2

なんといってもシングルピード然! なボムトラックのArise2、2018年モデル。フルスチールで、フェンダー装備、前にキャリア、サドルにもキャリアをつけて大型バッグを載せている。このスタイルもいい感じ。ブレーキはTRPの機械式。後輪のブレーキ下部についているのはなんだろう? ライト?内装ギア?

DTSWISSの460dbリムで組まれたホイールに、タイヤはコンチネンタルの4シーズン。ハンドルバーはグラベルバーのような超シャローのフレア。フロントバッグはレベテイトデザインだ。メインの大きいボトルがカッコいい。クランクはTruvativのSTYLO。ペダルはXTのSPD。クイックリリースもXT。シングルスピードで1200km、どんなものだろうとも思うが、急ぐので無ければ故障のリスクも少なく、軽量になるのでいいチョイスかもしれない。とはいえ、結構な登り下りのあるPBPだが……。前回大会で圧倒的な走りを見せたビョルン・ブルクハルトも、今大会はシングルスピードで参加していた。極めると、そのあとはシンプルに落ち着くのかもしれない。

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とここまで書いてそれっきりになっていたのだった。おそらく2019年から2023年の4年はバイクやエキップメントの進化も大きいだろうから、今年どんなバイクに出会えるかを楽しみにしつつランブイエへと向かいます。4年でのバイクの変化についてはLa routeでも文章にしようかと考えています。まだまだバイクの写真はたくさんあるので……

PBP取材のあれこれなどは、ニュースレターでも後日書く予定です。よろしければぜひご購読を。

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