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日本横断レース帯同記 26′ 相模原

Arenberg 主筆の小俣は日本最長のステージレース「ツアー・オブ・ジャパン」に大会広報チームの一員として8日間帯同中。ステージレースで移動しながらの日々をロードレースに絡めて、とりとめも無く書き留めます。

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5月30日(土)

最終日前日の相模原は、だいたい状況が混沌とする。総合優勝争いは決まっているものの、ポイント賞だったり山岳賞だったり、あるいは総合トップ10界隈だったりが接戦になって各チームの思惑が入り乱れる。今日で言えば、総合2位のボヌーと3位のベンジャミとは3秒差。総合10位の留目と11位のブレンホイが3秒差。山岳賞もトップの山本元喜と2位のカロッロとは3ポイント差。ポイント賞はトップのダーティとベンジャミは16ポイント差。いろんなチームに目的があり、場合によっては敵味方が展開の中で入れ替わるロードレースらしさが見られるかもしれない。

昨日、ソリューションテックは会心の勝利だった。ふじあざみラインではチーム総出で牽引して、他のチームに攻撃の余地を与えないままワンツーフィニッシュに持ち込んだ。安堵とも確信ともとれる穏やかさで新城幸也は、「決められたプランを着実に遂行できる、だからこそプロチームなんです。こればっかりはコンチネンタルチームと全く違う」という。「脚力だけの勝負じゃないんです」とも。単純な脚力勝負に見えるふじあざみラインにも、ロードレースの方程式がある。

啓兄が、ソリューションテックの選手のハンドルバーに貼られた要チェックゼッケン番号の写真を見せてくれた。今日はこのナンバーの選手は行かせてはいけない、ということだ。8人の番号が書かれていたが、日本人のそれは留目夕陽の101だけだった。

相模原には東京五輪の残り香がある。とある関係者は、東京五輪後の相模原ステージでは、それはもう沿道に人が溢れていたという。今日ではその人数は減ったものの、コース上を走っていくと、あの世界に発信された五輪コースの雰囲気をまだ感じることができる。

相模原ステージのフィニッシュ地点のにぎわいは結構好きである。土曜日でちょっとみんな浮かれた感じもあり、だいたい天気もいい(大雨の年もあったが……)。自走できているサイクリストも多く、ちょっとヨーロッパのレースっぽい雰囲気がある。

展開の多いレースだから、残念ながらこの日はあまり会場をうろうろする時間は無し。レース中はモニタをじっと見て、展開があればメモをとる。言ってしまえばそれだけの仕事ではあるのだが、あまりに働いているように見えないらしく、とあるメディアテントに立ち寄った元選手からは、「楽そうな仕事だねぇ」(大意)と言われる。うーむ、そうかもしれない……。正直、運動不足ではある。

今日のレースの大半は、時間を持て余していた某チームの参謀(?)と一緒に見た。普段はレースの中にいる人だから、各チームの思惑や展開を読み解く力が鋭い。その彼と一致したのは、レースは印刷した前日のリザルトを手元に見れば、理解度が深まるということ。何か動きがあったときに、その選手の総合成績や各賞ポイントをすぐに参照しながらレースを見ることで、この100名近い集団のダイナミズムが見えてくる。毎日こうしてレースを見ることのできるTOJは、自分にとってもいいトレーニングの場であり、役得である。それを還元できるレポートや発信に落とし込みたい。

レースについてはレポートに書いた。

狙いすまして山岳賞を獲得したフランチェスコ・カロッロ(スワットクラブ)の5円玉のネックレスに記者会見では質問が飛んだ。曰く、「昨年のツール・ド・おきなわ参戦のため日本で過ごした5日間が、すごく楽しくて忘れたくなくて、それで『5』を示すこのコインを身につけているんです」とのこと。So sweet!

相模原から東京へ。旅の終わりも近い。今年はTOJとして初めて大森の東横INNに泊まる。実はここは先の2月に、シクロクロス東京での仕事の際にも泊まった宿だった。部屋に入るなり、隣の隣の部屋のWi-Fiに接続された。

その2月に、啓兄と行ったビアバーがあった。関西弁なまりを目ざとく聞き取った啓兄が、店員のお姉さんに「出身は大阪のどこですか?」と聞くと、「堺」と。2人は地元の話でたいそう盛り上がっていた。東京の地で大阪人、それもおなじ地域人で会うというのは特別な感慨があるらしかった。その夜はとても楽しく過ごしたので、今回大森で泊まると知ってからはそれとなく再訪を楽しみにしていたのだった。 

そのお姉さんは今日もいたが、冬には閑散としていた店もこの初夏めいた土曜日には盛況で、あまりこちらをお構いしてくれる感じではなかった。「あの、冬にも来た、堺の」と言うと、やや間があって「ああ!」と言って、思い出したのか思い出していないのか、それきりだった。しかし注文が間違って入ってしまっていて、フライドポテトを一皿サービスしてくれた。ビールは美味しかった。

毎年、この東京ステージ前夜はメディアチームの全員での事前打ち上げ(?)が恒例なのだが、今年は平日からあまりみんな集まりが悪く、最後のこの機会もS子さんと啓兄、そしてボスとの4人での慎ましい打ち上げになってしまった。ボスの希望で中華料理。美味しかった。昨日の街には感心していなかった我々だが、うーん、大森はなんかいいね、などとほろ酔いにまかせて街を好ましく思うのだった。街のこういう雰囲気の差は一体どこから生じるのであろうか。

明日はいよいよ最終日。遅々とし始めているこの日記の数少ない読者からTOJ会場で声をかけていただき、嬉しいやら、恐縮するばかりです。あと1日。

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※同僚の辻啓・S子さんの写真をアップしています

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