Arenberg 主筆の小俣は日本最長のステージレース「ツアー・オブ・ジャパン」に大会広報チームの一員として8日間帯同中。ステージレースで移動しながらの日々をロードレースに絡めて、とりとめも無く書き留めます。
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5月29日(金)
雑文であっても毎日現場に出て仕事をしてその隙間時間に書くとなるとなかなか大変なもので、6日目にしてこの日記も追いつかなくなってしまった。思い出して書こうとすればするほど、その時の感情や雑感は取り戻せないものになってしまって、日記というのはなるべく早く書くにこしたことはないと改めて思う。
朝から啓兄はホクホクとしていてテンションが高い。なんでも新しい機材を投入したとかで早く使いたくてたまらないようだ。それはオークリーの新しいスマートグラスで、ライド時の撮影用に買ったそうだが、「音楽も聴けるよ」とご機嫌で音楽を聴き始めた。一度だって出発前のメディアカーで音楽なんて聴いたことがない男が。
しかしちょっと借りて音楽を聴いてみると、これはいい、となった。欲しい。

朝の御殿場は霧に包まれていて、雨模様のレースを覚悟したが、スタート地点に着くと予想に反して時折太陽が顔を出し、また蒸していて暑い。
TOJにおける富士山というのは、あまりにも決定的すぎて鼻白むことが多いのだが、いざその日を迎えてみると期待している自分がいることに気づく。飯田までである程度見えてきた総合勢が果たしてそのまま行くのか、また違った顔が出てくるのか、日本人で一番速いのは誰か、云々。

世界でも屈指のヒルクライムレースだから機材がどうか、あちこち聞いて周るがあんまり大きな機材変更は認められない。エアロロードバイクが軽くなったこともあって、どこもインナーギアを36Tにするぐらいのものだ。そんな話をベテランのジャーナリストとしていると、個人TTだった時は面白かったよね、という。周回コースが増えて、ロードレースの要素が濃くなったことで登りだけに特化したものの出番は減り、あまり機材的な面白みはない。
それでも各チームのメカニック同士が、過去のあの選手の機材はすごかった、あのパーツは……と嬉々として話しているのを見ると、この人たちは自転車が本当に好きなのだなと温かい気持ちになる。しかし改めて各チームの機材を見渡してみると、昨今のマーケットがそうであるように中国ブランドのバイク、パーツが増えていることに気づく。
スタート前に「日本人がやってやらないと」と鼻息荒く語っていた織田聖が、有言実行でこの日の逃げに日本人として唯一入った。シクロクロスで見慣れすぎているせいで、大会6日目にしてようやく愛三のアウトフィットを認識できるようになった。青いジャージを着てロードレースの先頭を走っていても、頭を上下に振る猪突に猛進な走りは健在だった。
レースについてはレースレポートに書いた。想像通りの結果ではあったけれど、勝負が決まる瞬間まで息を飲むのは、毎年の富士山でのそれだった。総合成績はこれで決まってしまったけれど、3秒差の総合2-3位争い、3pt差の山岳賞争いが相模原では焦点となる。こういう秒差を争うのが、1週間ステージレースの最大の魅力であろう。



五合目を下り、メディアカーはさらに東へ。気づけば風景が田園から住宅地になっている。いつまでも終わりのない住宅地。橋本駅前の定宿にチェックインすると、毎年恒例の街の喧騒がそこにあった。ここまで日本の特色ある街を渡り歩いてきたからか、コピー&ペーストしたような街並みにそこまで気分が上がることはない。金曜夜の街の歓楽からずいぶん遠いところからやってきてしまったので、街にはもう戻れないかのようだ。
啓兄が撮影中に思わず「撮れて」しまったというスマートグラスの写真を見る。レースの撮影中、モトの後部座席からの視界が写真になっている。これ、結構いいんじゃなかろうか。ツールの取材に持っていきたいとちょっと思うのだった。ツールの取材のことを思い出すと、TOJのここまでの日程でおおよそ1/4相当……。フランスでも毎日日記を書くつもりなのだから、あとひと月でグランツールのための体力づくりをしないといけない。

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※同僚の辻啓・S子さんの写真をアップしています
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