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日本横断レース帯同記 26′ 京都

Arenberg 主筆の小俣は日本最長のステージレース「ツアー・オブ・ジャパン」に大会広報チームの一員として8日間帯同中。ステージレースで移動しながらの日々をロードレースに絡めて、とりとめも無く書き留めます。

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5月25日(月)

京都ステージはいわゆる京都というよりは、「知らない京都」に出会えるので結構好きなステージである。歴史的な寺社仏閣や八つ橋と触れ合う機会はないものの、お茶の産地であったり、学研都市としての京都の側面に触れることができる。スタート地点の普賢寺が一休さんゆかりの地であることは、すっかり忘れていた。メディアカーの車内では、「子どもに見えない」「一休さんだから老けているのだろう」などと好き勝手な意見が飛び交う朝である。どうじゃこうじゃと 言うが愚かじゃ。

前日2位、繰り下げではあるがポイント賞ジャージを着る山本哲央(TEAM UKYO)は、結構いいかもと特別賞ジャージの着心地を確かめる。前日の勝利に立ちはだかったのはチームメイトだったが、チームメイトだからこそわかるそのパフォーマンスは圧巻だったらしい。しかし急遽招聘された山本も、これだけの結果を出しているのだから誇っていい。2年ほど前の美濃でステージ優勝を逃しているところを見ているだけに、勝利するところが見たいというのも本音としてはあるが……。

初日のチームプレゼンで流暢な日本語を話し会場を沸かせたミン・キョンホ(ソウルサイクリングチーム)に話を聞く。「日本語は修行しました」ということでどうやらあの日本語は学校で学んだらしい。修行に対応する韓国語がおそらくあって、文字通りの修行ということではないのだろうけれど、語学をしっかりと学んだらしい。日本の生活文化が好きですから、ということだったがアニメやマンガという話が出てこないあたり、韓国という隣国ならではの近さを感じもする。同時に、日本語を学ぶ外国人はアニメ好き、というバイアスが自分に強くあることを自覚もする。

何人かの日本人選手に話を聞くと、今年は選手のレベルが高いという。総合優勝を狙う選手の層は変わっていないが、その下の、ステージ優勝を狙ってくる選手たちのレベルが高そうだという。それはつまり、京都から相模原ステージまでの毎日が激戦になるということだ。まずは今日の京都でそれが見えてくるかもしれない。

そういえば、昨日からアイドルがメディアチームに加わっている。普段の生活でアイドルと言うとき、それは実際上の意味ではなく比喩として使うことがほとんどであろうが、昨今の自転車界では本当の意味のアイドルがいるので、そのままの意味のアイドルがメディアカーに同乗している。メディアの仕事を学びたいと2日間研修のような形でレースに帯同されている。仕事ではなく休日を使ってやってきたという。本人がすでにメディアである人が、本気でメディアの仕事をしたら、新規観戦者増に悩むこのスポーツにも何か光が指すだろうか。お互い持っていた冠番組は、結局彼女のものが生き長らえた。Arenbergの番組があったこと、2027年には誰も思い出すことはないだろうからここに書き留めておく。

京都ステージのコースは狭くワインディングするものだが、フィニッシュ地点への移動のメディアカーもそれなりに揺れる。プレス見習いのアイドル氏はすっかり乗り物酔いをしたようで青い顔をしている。生気を無くした恩恵か、京都ステージではあまり身バレもしなかったようだ。しかし自分自身がメディアなのも大変だ。

けいはんなは清潔で広大で無機質な場所であるが、周回を重ねる毎に沿道に観客が増えていって、最後にはわちゃわちゃと有機的な人の集まりになるのを見るのは愉しいことだ。伝統的なお祭りの風景は街並みとマッチするとはいい難いが、沢山の人が自転車でやってきて、そしてレースを終えた選手と入り乱れて、という光景はこの地ならではのお祭り的な側面があると感じる。最新鋭のロードバイクと洗練された肉体、学研都市の先端的な雰囲気が合うのかもしれない。

レースは大方の選手の予想通りに終盤にハードなものとなった。最終周などはかなり速かったらしい。メディアテントの裏では、最終周を前にレースを終えたウズベキスタンの選手たち4人が和気藹々と食事をとっている。あまり悲壮感は無かったが、ちょっとぐらいあってもいいのではないか、とも思う。まぁ各人の事情があるので無粋な考えだが……。

結局この日は4名が抜け出して逃げ切るという、京都ステージでは珍しい展開になった。それだけ強力な選手がいるということだが、勝ったのは前日に続きトンマーゾ・ダーティ。すでに今季あのピドコックを打ち破る走りをヨーロッパで見せており、ちょっと脚色が他の選手と違う。小柄なこの選手がこの先もレースを支配しそうな雰囲気がすでに漂い始めている。

メディアカーは三重へ。途中工事渋滞があり、道端で尊厳を失うか車内で尊厳を失うかという個人的危機がありつつも(甲南PAの乱)、クルマは無事に宿に着いた。2年ぶりのルートイン。1年は短いと昨日書いたような気がするが、2年はそれなりに長いようで、記憶は漸減的に断片的だ。辛うじてホテル前のびっくりドンキーで夕食を摂ったことが思い出されるが、それがよいものだったかまでは思い出せないので、少し歩いて新しそうな餃子の王将へ。モノトーンで無機質な店内はどこか今日の街並みを思わせもした。

四日市やきそばなるローカルフードを食べようと思ったが、メニューには辛いという表記。辛いものはあまり得意ではないので、麻婆麺を選んだのだが、これも辛かった。そりゃそうか。

アイドルは夜に名古屋で仕事があるのでと帰っていったが、初日から少し浮かれ気味だったメディアカーの雰囲気が明日からどうなるか、楽しみである。事前には車内で生歌を披露してもらおうなどとハラスメントぎりぎりの提案もされていたが、結局それは実現しなかった。コンサートに行けということである。

堺ステージ レースレポート
京都ステージ レースレポート
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※同僚の辻啓・S子さんの写真をアップしています

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