2025年のバイクトレンド予想
Rouleurが、新年らしく2025年のバイクトレンドを予想する記事を公開した。さらなる空力の追求、カンパニョーロの新コンポ、3Dプリンタの活用、TX25ボルトの広まりなどが挙げられているが、興味深いトピックスは次の3つ。
・オールラウンドなエアロロード化から、軽量バイク復活へ
近年は、軽量で登坂もこなせるエアロロードバイクに1本化していく流れがあった。昨年発表されたトレックのマドン第8世代や、スペシャライズドのターマックSL8はその筆頭。記事ではピナレロのドグマも挙げられている。しかしここにきて、スコットの新型アディクトRCの登場など、一度は消えかけた「軽量バイク」が再び日の目を見るのではないかとRouleur。その理由が興味深い。それは男子のプロ選手のためではなく、一般サイクリストのためだという。素材も進化する中で、UCIの定める6.8kgという最低重量がどれだけ今日的な正当性があるかは定かではないが、プロバイクが進化の先端をいく、という時代が終わりかけているのかもしれない。スコットのアディクトRCは吊るしの状態で5.9kgだという。
・ワールドツアーで最も安いバイクの登場?
アスタナのチームスポンサーともなった中国のXDSはバイクブランドだ。2025年、中国ブランドが初めてワールドツアーを走るという。中国ブランドということで価格が安いだろうという筆者は7000ドルのレンジを予想している(日本円換算で約110万円)。価格そのものよりも注目すべきは、ブランドが中国マーケットを主眼としているのではないかということだ。ある1カ国だけで自転車を売るために、ツール・ド・フランスを頂点とするワールドツアーレースが用いられるということは前例がない。が、XDSが呼び水となって、ヨーロッパでは買うことのできない商材が今後ワールドツアーのサーキットにスポンサーとして流れ込んでくる可能性は高い。ちなみにこのスポンサーシップに伴い、中国籍の選手がアスタナ入りを果たし、満席のチームからはグレブ・シリツァが押し出される形で下部ディベロップメントチームへの移籍が急遽決まっている。ワールドツアーライセンスの降格がかかるチームとして、Proクラスのレースで勝てる選手を放出することが果たして理にかなっているかは甚だ疑問が残る。ツールの出場権を失った時に、新興の中国ブランドがなおも巨額のスポンサー金を回収できるのだろうか。
・金属製バイクのカムバック
スタンダートやメイソンといったヨーロッパブランドの金属製バイクが求められている、とRouleur。その理由として挙げられているものが興味深い。金属製のバイクは、製造元が確かで、ライダーである消費者がどんなブランドに帰属しているかがわかるから支持されている、というのが記事の趣旨だ。パフォーマンスや金額ではなく、バイクの素性が求められているというのは極めてヨーロッパ的な傾向であると感じるが、同時にその文脈に置いた時に、先に挙げた中国製XDSバイクには居場所がないということにもなる。してみれば、XDSのドメスティックなマーケティングは方向性としては正しいのかもしれない。なお、本記事中では、カーボンバイクもローカルでの生産が可能であることも指摘しており、Reap Type 300というバイクに熱を上げている。
Source: Bike tech predictions for 2025 – lightweight is back, so are outrageous aero designs, there’s a new ‘WorldTour’s most affordable bike’ and Torx bolts rule | Rouleur
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