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【書き起こし】Zwiftが今日の自転車シーンにもたらしたもの

ポッドキャスト最新回「Zwiftが今日の自転車シーンにもたらしたもの」では3名の識者と、Zwiftが主に我が国の自転車シーンの風景をどう変えたか、について話しました。大ボリュームですが本ポッドキャストの文字起こしを下部に掲載しています。文章で読みたい方はそちらをご一読ください。

収録を終えて印象的だったのは、高岡さんの「オーバーオール、ポジティブ」という言葉。昨今のレース現場、とりわけアマチュアレースの現場では落車が起こる度に「Zwiftのせいでちゃんと走れない選手が増えている」という言葉を聞きますが、レース界全体を見渡す視点に立つと、サイクリングの機会とレベルを向上していくデバイスとしての評価も表裏一体であるということです。もちろん、高岡さんが語るようにかつて長い時間とともに培われた乗車スキルは、今日でも必須ですし、ロードレースがスポーツとして継続発展するためにはその習得に別途時間をかける必要性もあるでしょう。新しいテクノロジーを眼の前にして、ただ目の敵や頭ごなしに否定するのではなく、どう向き合うかという前向きな捉え方をしていく段階に来ていると感じました。

西薗さんは研究者の鋭い視点を度々ここでも見せてくれましたが、Zwiftがロードレースとの主従関係において従に語られがち、との指摘は重要です。リアルを重視するのは生を持つ人間として当然の傾向ではありますが、Zwiftをロードレースを代替するものという視点から離れ、よりEスポーツとして独立的に発展する方向性も興味深いものがあります。

Zwiftコミュニティについての知見を伝えてくれたにんにんさんの言葉からは、Zwiftという仮想空間に集うサイクリストたちのリアルが伺えます。それは、本編中にもありますが、身体性を伴う自転車だからこそ獲得しうるリアルであるかもしれず、しかし自転車のあり方、スポーツの楽しみ方を拡張しているヴァーチャルサイクリングの可能性を感じさせるものです。今回のポッドキャストに出演いただいた御三方に御礼を述べるとともに、私自身サイクリングの定義を広げることになる、刺激的な時間となりました。ぜひポッドキャストで聴くか、本ページ下部の書き起こしでご覧ください。

Arenberg 小俣雄風太

本プログラムはZwiftのサポートによって実現しました。Zwiftという、すでに国内外のロードサイクリングシーンに定着している新しいテクノロジーのインパクトを2026年の今に識者の方々と確認できたのは、メディアとしても大きな喜びでした。このZwiftでは日本のGW期間に合わせて、Zwift RideとKICKR CORE2 Cog & Clikをそれぞれセール価格で販売します。本記事やポッドキャストによって、Zwiftをやってみたい、より楽しみたいという方は、期間限定のセールプライスでぜひ専用デバイスの導入をご検討ください。(本編中でにんにんさんが語っているように、日本でのセール展開は稀とのこと)。セールの詳細は、Zwift公式サイトあるいは、下記個別の製品ページより。

Zwift Ride (¥224,000 → ¥180,000)

KICKR CORE2 Cog & Click(¥99,999 → ¥80,000)

ポッドキャスト書き起こし(パート1)

ゲスト:高岡亮寛(パート1)
2024年UCIグランフォンド世界選手権45-49世界チャンピオン、ツール・ド・おきなわ市民レース7勝など、日本を代表するアマチュアレーサー。目黒区にあるバイクショップRX BIKEのオーナーも務める。トレーニングにZwiftを活用している。X:@RX_Takaoka トレーニング日誌であるnoteもほぼ毎日更新

ゲスト:西薗良太(パート1)
東大卒レーサーとして、3度の個人タイムトライアル・ナショナルチャンピオンに輝く。引退後は、人気ポッドキャストSide by Side Radioのホストとして、サイエンスとサイクリングを結びつけた発信が好評を博す。現在は某企業で研究職に従事。X:@NishizonoRyota

ホスト:小俣雄風太
Arenberg編集長。執筆・ポッドキャストの運営のほかJ SPORTSではロードレース・シクロクロスの実況を担当。なんだかんだZwiftに乗っている。 X:@yufta

小俣: 高岡さんと西薗くんはどんな関係ですか?

西薗: ライバルです(笑)

高岡: よく存じ上げております(笑)

小俣: 接点は結構あったりするんですか?

西薗: 試合会場とかでは昔からはよく会いますし

高岡: でもあんまり被ってなかったような印象かな。 大町美麻とかは覚えてる。西薗がまだ東大の学生だった時かな。

西薗: 学連時代の方がよく被っているかもしれないですね。

小俣: 高岡さんからしたら当時、イキのいい学生がいるなみたいな感じだったんですか?

高岡: 当時ノリノリだった頃だと思うんですけど、佐野淳哉と優勝争いしてたとか。自分はイナーメ(信濃山形)でホビーレーサーとして出てて、学生でこのレベル、プロのトップと渡り合っていたのは、これはなかなかの大物だなと思って見てましたね。

西薗: ありがとうございます。

小俣: ということで今回のArenbergポッドキャストはスペシャルゲスト会としてお届けします。2名のゲストをお迎えします。まずは高岡亮寛さんです。よろしくお願いします。

高岡: はい高岡です。よろしくお願いします。

小俣: そしてレギュラー回では初めてになりますね、イベントでは何回もご一緒させてもらってますけれども、西薗良太さんです。

西薗: よろしくお願いします、西薗です。

小俣: まずなぜこの2人をゲストにお呼びしたかというところなんですが、今回は提供回となっています。Arenbergでは実は初めてのことになるんですがズイフト(Zwift)からスポンサーを受けまして、このコンテンツをお届けしていきます。ズイフトというのはもうご存知の方も非常に多いかなと思いますが、バーチャルサイクリングのプラットフォームですね。2014年に彗星のごとく登場・普及したサービスで、コロナ禍で大きくブームになったというようなニュアンスもあるんですが、今ではサイクリストのトレーニングパートナーとして、一定以上の定着をみている、そんなプラットフォームです。 バーチャルサイクリング自体がすごく流行ったんですが、その中でも牽引役としてズイフトの名前が挙がります。このズイフト、非常に効率的なトレーニング革命やフィットネス習慣というのをもたらしたと同時に、ズイフト登場後の自転車の言説の中に、『落車が増えたのはズイフトのせいだ』とか『真っ直ぐ走れない自転車乗りが増えている』といったことがズイフトのせいだという論調もあったりして、様々な論議の的になってきています。

で、今回このズイフトがサポートしてくれるという話になったんですが、コンテンツ内容としては常々私が考えてみたかった、ズイフトが登場してですね私たちのいる自転車レースの現場ですとか、サイクリングカルチャーにどういった影響もたらしてきたのか、ということをお話したいと思い、今回高岡さんと西薗くんにいらっしゃってもらったというのが経緯です。

そのZwiftよりお得なお知らせです。2026年のGWに合わせ、4月29日から5月5日まで、日本では珍しい特別キャンペーンが開催中です。WahooのスマートトレーナーKICKR CORE2 に専用固定バイクがセットになったZwift RIDEと、KICKR CORE2 Cog & CLICKが期間限定の特別セール価格になります。

専用バイクがスマートトレーナーにセットになったZwift RIDEは、サイズがいかようにも変更可能。乗っても非常に静かで、専用機ならではの快適さでZwiftを楽しめます。通常価格 224,000円が 180,000円になります。

KICKR CORE2 Cog & CLICK は、ワフーのスマートローラー KICKR CORE2に、ZWIFTコグとよばれる、スマートカセットとまたハンドルバーに取り付けするコントローラーのZWIFTクリックのセットです。とてもシンプルに、お持ちのバイクでZWIFTに集中できます。通常価格 99,999円が 80,000円になります。また、こちらには1か月のZwift無料プレイサービスも付属します。

製品の詳細・購入はこちらのZWIFTのページから

<高岡さん、ほぼ毎日Zwift>

小俣: ということでまずは私から簡単に高岡さんのプロフィールを紹介させていただきます。肩書きとしては、一番に来るのは目黒区にあるRX BIKEのオーナーでいらっしゃいます。

高岡: そうですね、それが社会的には唯一のちゃんとしたところです。

小俣: 唯一ってことはないと思いますが(笑)。そして日本のアマチュアレーサー界の中では一番の有名人と言っても過言ではない、日本最強のアマチュアレーサーの一人という言い方もできると思うんですが

高岡: 一応、世界選手権優勝してるんで……世界一になったと言っても嘘じゃないと思います。

小俣: はい、2024年にUCIのグランフォンド世界選手権の45-49カテゴリーで見事世界チャンピオンになられたという高岡さんです。国内レースの勝利は枚挙に暇がないんですが、ツール・ド・おきなわでは7勝という記録もありますし、それこそコロナ禍の時期には日本縦断のギネス新記録を樹立されてということで、レースだけではなくサイクリング全般をやられているということです。補足的に自己紹介があればお願いします。

高岡: そうですね、アマチュアレーサーということでツール・ド・おきなわをメインでやってたんですけど、会社を辞めて時間ができたり、コロナがあったりで日本縦断のようなレース以外のこともいろいろやっていました。最近始めた中でやっぱり一番面白いなと思うのはグラベルレースですね。日本だとあんまり大きい大会は無いんですが、海外へ行くとすごい人気で、面白いレースもあって。そっちも今後ちょっと一生懸命やってこうかなと思ってます。世界選手権も3回出ていて、今年の世界選手権はオーストラリアで開催されるのでそれもぜひ狙っていきたいなと思ってやってます。今後もロードレースに加えグラベルレースを一生懸命やっていこうかなというふうに思ってます。

小俣: グラベルはそれこそあのアンバウンドグラベルっても走られていて。ロードレース以上に世界各地を走られている印象もありますよね。

高岡: そうですね。ロードレースだと日本国内でも各地で毎週いろんなレースがあるんですけど、ことグラベルとなると、最近グラベルライドイベントっていうのは増えてきたんですけど、いわゆるロードレースみたいなグラベルバイクでのオフロードレースっていうのは去年初めて日本で開催されたっていうぐらいでほとんど無いですよね。海外ではレースがものすごく盛んで、あのヨーロッパでもオーストラリアでもアメリカでも面白いレースがあるので、もうグラベルレースだったらもう海外行こうっていう感じになってますね。

小俣: その辺りのグラベルのあり方の違いみたいなところだけでも多分1つコンテンツになっちゃいそうですね。

高岡: そうですね。その世界はかなり体験している日本人の一人だと思います。

小俣: それはまた機会を改めてとお話を伺えればと思いますが、ロードレースもそうしたグラベルレースもとにかくエンデュランス能力が基本に問われるスポーツだとは思います。高岡さんは練習の記録を記したnoteをほぼ毎日更新されてますが、かなりズイフトを使われているのがわかります。今日はそのあたりのことを聞いていきたいと思いますのでよろしくお願いします。

高岡: はいよろしくお願いします。

小俣: そして西薗くんですけれども、個人タイムトライアルナショナルチャンピオンに輝くこと3回。一時は競技引退をしてからの復帰・タイトル獲得もありました。過去にはチャンピオンシステムという今のUCIプロチームにあたるチームにも所属していたという、バリバリのトップレーサーでもあった西薗くんです。東大卒レーサーというふうに紹介されることが多かったと思いますが、今日ではSide By Side Radioのホストという方が通りもいい気がしますが、自己紹介つけ加えることがあればどうぞ。

西薗: そうですね、ちょっと休眠気味のポッドキャストチャンネルのホストをやっておりますけど、引退してからもうそろそろ10年近くになるんですけど、今は某企業研究者をやっておりましてまあコツコツサイエンスをやってますという感じです。

小俣: 西薗くんはポッドキャストの中でトレーニング理論とか新しい話に触れていて、耳馴染みのあるリスナーの方も多いかなと思うんです。そういった観点も含めて今日はズイフトについてのお話を伺っていきたいと思っています。

西薗: 今回はどっちかというと高岡さんみたいにエイヴィッドなサイクリストというよりは、引退して、「本当のアマチュア」としてすごくゆるく乗っている人間の観点で、隙間時間にじゃあどうやってインドアバイクを使おうかな、みたいなそういうレベルのサイクリストの視点もあるのかなという気がしています。

小俣: いいですね、ありがとうございます。では本題に入っていきたいなと思うんですけれども、noteの話もありましたが、高岡さんはほぼ毎日ズイフトに乗ってるような気もするんですが……

高岡: ほぼ毎日乗ってますね(笑) 週5、5日は乗ってると思いますね。

小俣: 高岡さんはnoteでトレーニング日誌を有料で公開されていて、その細かい中身までとは言わないんですが、ざっくりどんな風に高岡さんの生活の中でZwiftが活用されているか、教えてもらってもいいですか。

高岡: トレーニングはほぼ毎日してるんですけど、2時間までのトレーニングだと外に行かないですね。というのは自分東京都内に住んでいて、都内から外行ってまともに走れるようになるまでがまず2、30分かかります。家から多摩川方面に向かうと25分ぐらいで多摩川サイクリングロードに着いて、そこからは信号などで止まらずには走れるんですけど、ただ練習するっていう感じではないんですよね。で東に行くと荒川があって、ここは道が広くてそれこそ10分走とかは思いっきりできるんですが、荒川までは50分かかるんです。今日は2時間練習しようって時は、外に行くと練習できないんですよ。なので2時間までの練習の日はほぼZwiftしかやらないですね。

小俣: その時の2時間は、練習の強度は比較的高めの負荷でやるイメージですか?

高岡: 日によりますね。流す時もあれば、インターバルをやる時もあって。まあどっちもZwiftの方が実走より向いてるんですよ。例えばエンデュランスって、強度は低いけどずっと走り続けるっていうのが重要なんですけど、一度外に出ると信号があって足止めなきゃいけなかったりとか。で3時間走ったとしても、止まってる時間が15分とか20分になっちゃうんですよね。本当に狙ったエンデュランスにはなってないですし、逆にインターバルだと例えば40秒/20秒をやろうとしても、20秒後にきっちり始められるかっていうとそれも信号ない峠道行かない限りできないわけで。結局効率を追い求めたらほぼどんな練習でもZwiftが一番いいやと。後で話題になるかもしれませんが、バイクコントロールだとか体重移動とか、そういったもの以外はもうほぼZwiftが、効率だけ考えると最強なんですよね。

<ヴァーチャルサイクリング=Zwift?>

小俣: ただローラー台自体は昔からありましたよね。

高岡: そうですね、Zwiftって言っちゃってますけど、正確にはスマートトレーナーですよね。それぐらいZwiftがもうスマートトレーナーの代名詞になっちゃってる。さっきの落車が頻発と言うのも、厳密にはスマートトレーナーを主語にするべきで、必ずしもZwiftじゃなくてもいいんですけどね。私もバーチャルサイクリングですかね、イコールZwiftとほぼ置き換えて読んでしまうし自分でも言ってしまってますけどね。

小俣: それ自体が象徴的な話かなと思うんですけど、とはいえ昔からいわゆる固定のローラー台はあって。

高岡: そうですね負荷も一応かけられて、といういうのはありましたね。

小俣: 狙った高負荷のトレーニングをするにはたぶん固定ローラーでも良かったと思うんですけど、その時代よりもZwiftやバーチャルサイクリングが出てきたことで使う頻度が増えたというイメージですか?

高岡: そうですねさっき2時間っていうの出ましたけど、昔のその普通のトレーナーに負荷をかけてやる2時間とバーチャルサイクリングでやる2時間って、メンタルの負荷がだいぶ違うっていうところありますね。

小俣: それは単純に画面があるからっていうことで

高岡: そうです画面で、ただ視覚的に脳がダマされているってだけなんですけど(笑) でも「だけ」と言ってもそれがかなり重要で、飽きずにできるっていうところは大きいと思いますね。

小俣: ちなみに西薗くんはどうですか。現役時代には多分Zwiftってメインストリームではなかったと思うんですけど。

西薗: まあちょっとずつ出てきてたところで、少しずつやってる人が出てきたなって感じでしたよね。

小俣: 西薗くん自身はZwiftだったりバーチャルサイクリングを現役時代は取り入れてましたか?

西薗: いや僕はそれこそ固定ローラーで最初頑張ったっていうのが、結局一番重要なブレイクスルーの一つで。高岡さんもそうだったと思うんですけど、普段の練習をインドアにして効率を上げることによって、飛躍的にフィジカルを上げるっていうことをした人だと思ってます。それはZwiftを使って無くて、もはや音楽と固定ローラー、以上みたいな感じでしたが。まあこれはグラアム・オブリーみたいな世界が一番最初似合ったんだと思います。そういうパラダイムがあるよってのを教わって、それでそういうことを始めたって感じですね。ただ現役時代はZwiftの必要性はそれほど感じなかったんです。高岡さんは今サラリーマン生活を終えられている中で、純粋に興味があるのはどこかに移住しないんですかって、いうのがあります。僕だったら時間ができちゃったら移住しちゃうんですよねたぶん。

小俣: それは自転車乗るのにいい環境へ、と。

西薗: そう、なんか特に制約がなくなったら。今は家族も仕事もあるし、子どもたちの学校でここに通い続けたいとうのもあるので都内に住んでるんですけど、何も制約がなくなると気持ちいいところに住んじゃう気がする。

高岡: まさにすごいリアルタイムで。一応言っておくと、子どもがいるんですけど(笑)、大きくなってきたのでその後の生活も考えてですね。本当にまさに西薗さんがおっしゃる通り、ずっと前から東京プラスどこか第2拠点を持ちたいなと思っていたところなんですよね。で、まさに今日その土地を買って来たところなんです。

小俣: めっちゃタイムリーな(笑)

高岡: そうなんですよ。まあすぐ家が建つわけじゃないですけど、そのうち半々ぐらい東京とそっちとを行き来する夢の2拠点生活をしたいなと。

小俣: ちなみに東京からどれくらい遠いエリアなんですか?

高岡: これがあんまり遠いとなかなか行き来がめんどくさくなるんで、2時間はかかんないエリアですね。そんなにあの私秘密主義じゃないのでそのうちポロって言いますんで。

西薗: あともう一個興味があったのが、2時間のトレーニングって言ってらっしゃったんですけど、ERGモードを使ってるのかなっていうのは結構気になりました。なんか走り方として、要はパワーを指定されるのかそれともフリーである程度自分のところでパワーを持っていこうとするのかみたいなところは結構乗り方として違うのかなと思って。

高岡: 負荷が強制的に固定されるERGモードは、高強度のインターバルの時にしかやらないですね。まあこれも多分メンタルが強い人は頑張ってフリーでやると思うんですけど、自分はなんかもう強制的にじゃないとパワーが出せないなぁっていうのがあるんですよ。なので自分は割とERGモードを使う方ですね。コーチには本当はそれやらないほうがいいんだけどね、って言われてまあそりゃそうだよねとも思いますが。それって自分にリミットを設定してしまうことにもなるので。ただ私は割とインターバルは使う方ですね。

西薗: なるほど。それで流すところはフリーライドっぽいことやってる。

高岡: 流すところは使わないですね。強度が低いところに関してはERGモードでやることはほぼないですね。

西薗: Zwiftとかオンラインのツールっていうのはこういう走り方を基本的に選べると思うんですけど、好き嫌いが分かれるところなんだろうなと思いますね。

高岡: ちなみに西薗さんの見解としては、あれは有用なものですか、それとも使わない方がいいと思いますか?

西薗: 昔は使わない方がいい原理主義者だったんですけど、最近はもはや乗れれば何でもいいっていう、何でもいいから乗れ主義者になってきましたね(笑)

小俣: 生活のフェーズが変わってきてる

西薗: 生活のフェーズが変わってきてるんです。高岡さんの話とか聞いていてもディテールについてすごくこう力強いなっていうところなんですけど、もう自分とかもう何でもいいからとりあえず10分でも20分でも乗れっていうフェーズなので。もう本当何でもいいっていう感じになってますね。

高岡: けど逆にそういう時間がない中でちょっとでも、ってなった時、20分乗るために冬なんて着替えてシューズカバーしてネックウォーマーをつけてとかめっちゃ時間かかるじゃないですか。そういう時って必然的にバーチャルサイクリングになりません?もうショーツだけ履いて、みたいな。

西薗: 本当お恥ずかしい話ですけど、下着のパンツだけで走ることがあります。

小俣: ビブショーツすら履かない(笑)

西薗: 履かない。こういうことがままあるので、本当インドアサイクリングは自由だなと思いますね。

<プロ選手の走りに近い?バーチャルペーサー>

小俣: あの先ほどバーチャルサイクリングの代名詞がZwiftっていうのは話があり、一般的な世論としてそれはそんなに異論のないところだと思うんですが、高岡さんが今もZwiftを使い続けているな理由は何ですか?

高岡: 他に無料でできるサービスを使ったことあるんですが、Zwiftに追いつけてないっていうのがあって。まあそれしか他のサービスで使ったことないんですが。

小俣: それはやっぱりUIとか使い勝手とかっていうところで。

高岡: そうですね。あとはやっぱりユーザー数が多い方が、圧倒的に内容が充実するじゃないですか。他の人がみんな使ってるから使うっていう。そういう意味で初めにそこをガッツリ抑えたZwiftが強いのかなと思いますね。

小俣: 一方でZwiftはソーシャルの側面、ユーザー同士が繋がる側面も結構重視しているみたいなんですけど、他のZwiftのユーザーやリアルの自転車仲間とかとZwiftで一緒に乗ったりみたいなことって高岡さんはありますか?

高岡: やったことはあります。そういうコミュニティがかなり盛んなっているっていうのも知ってるんですけど、正直自分はそこはほぼそういう使い方をしてないですね。

小俣: そこはもう純粋に自分のトレーニングプランを遂行するためのデバイスっていうイメージですね。

高岡: そうですね。あの真面目に働いてる皆さんとちょっと時間が合わないので(笑)。何時にミートアップと言われてもなかなか今の生活だと。そういうのもあって一人やってます。

小俣: Zwiftで僕が結構画期的だなと思ったのは、1時間ごとにレースがあってすごい面白いなと思ったんですよ。レースも走らないんですか?

高岡: レースはね、一時期まあまあやってました。あれはすごいいいと思うんですけど、苦手だから逃げているのか、最近はもうめっきりやらないですね。逆に24時間走ってるロボペーサーっているじゃないですか。強度別にABCDとあって24時間コースを巡回しているペーサー。それに今日はこのぐらいで走ろうってAだったりBだったりCだったりを選んで走ることがほとんどですね。

小俣: そこを活用されてるんですね、面白い。

西薗: いや僕もバーチャルペーサーみたいなやつはかなり便利、かなり画期的だと思いました。選手はあれが好きなんじゃないですかね。普段のトレーニングの流れと近いというか。その選手がやってるトレーニングにかなり近いと言うか。それこそERGモードで固定するのとはなんか違う目標があって、集団がちょっと大きかったりするとうまく足を抜いてなるべくついていくこともできるし、そういう適度なバラ付きを与えられるっていうのもいいような気がします。

小俣: 例えばAだと強度が4倍みたいな指標はあるけど、それでもずっと4.0倍でぴったり行くわけじゃなくてちょっと傾斜とかで揺れますもんね。

高岡: そうなんです、ずっと走ってるとそれぐらいになるっていう目安で。西薗さんがおっしゃる通り、なんとなく実走に近い感じなんですね。

<Zwiftで世界に出るチャンスだってある>

小俣: 西薗くんが今現役の選手だったとして、Zwiftはどんな活用の仕方をすると思いますか。

西薗: そうですね、特にすごく若い学生とかだったら相当いろいろ考えなきゃいけないんじゃないかなという気がしていて。自分が大学生だったら相当真面目に取り組んだじゃないかなという気がします。意外にもそこからみんな逃げてる感じもあるような気がするので。そこはかなりわかりやすい力を見せる場所じゃないですか。で結局いいとこ行こうとすると、テクニックもあるけど最後は足が無いとしょうがないので。まあそこでわかりやすく出せるのってすごくいいことだと思うんですよ。

小俣: 本当に勝手なイメージですけど、部活の自転車競技部みたいなところに行けば行くほど、たぶん外を走れって言われそうな気もします。

西薗: それはそれでいいんですけど、別にテクニックも大事ですし。でもなんかバーチャルの世界で本当に一回圧倒的な数値を出してもいいんじゃないかみたいな。結局なんか両方必要だろっていう感じはあるんですよ。

小俣: いろんな人の挑戦を受ける立場にいる高岡さんですが、最近はZwiftやバーチャルで鍛えた選手がリアルに台頭して戦うような場面もあり、彼らのことを一定以上認めているようなところも伺えます。高岡さんがビオレーサーのインタビューで、今年のグランフォンド世界選手権(ニセコ)ではそうした強い若手選手たちと一緒に走りたいみたいなこともおっしゃってました。やっぱりそういったZwiftを活用する選手の存在っていうのはひしひしと感じられてるわけですよね。

高岡: たぶんその記事から1年以上前経って、またちょっとこう最近見方が変わってきているところもありますが。少なくともまあ私の主戦場ではないですけど、ヒルクライムのシーンが顕著ですよね。これはもうヨーロッパで選手のレベルが近年格段に上がっているのと同じように、日本のヒルクライムのレベルっていうのはもう10年前と全く違うレベルになっています。これに関しては、バーチャルサイクリングやZwiftの影響がものすごい大きいと思ってますね。それがロードレースにどこまで当てはまるかっていうと、思ったよりも大きくはない。

小俣: おお、そうですか。

西薗: うん。

高岡: そこのコンバートというか、ロードレースへいかに適用していくかっていうのは今後すごい大きい課題で、それがうまくいけば、ヒルクライムで起きたと同じようなことがロードレースにものすごい底上げになる、急激なレベルアップに繋がるのではないかという風には思ってますね。

小俣: Zwiftがねバーチャルサイクルの代名詞にという話が先ほどありましたが、日本においてそこの一定以上のウェイトを占めているのが高岡さんからも話しがありましたが、富士ヒルクライムを中心としたヒルクライムコンテンツが無視できないんじゃないかと。実際Zwift側も大会に向けて「Mt.富士ヒルクライム道場」というシリーズのトレーニングセッションだったり、実際のコースをバーチャルで再現して走れるようにしたりとかっていう、かなり重視している印象もあったりします。僕も富士ヒルを去年久々に走りましたけど、コースの特性とZwift的な走り方の特性が合っているのかなと思いました。

西薗: いやバッチリじゃないですかね。FTPがすごく露骨に出るというか、インターバルのかけ方とかそういうのはすごく似ているんじゃないででしょうか。

小俣: 世界のシーンだと、UCIワールドチームなんかは男女ともあのZwiftアカデミーというのがあって結構人気コンテンツになっています。Zwiftを用いてのトライアウトで、勝ち抜いた一人の選手がプロ契約を得ることができるなんていう。確かに日本の選手が世界に出るにはもしかしたらそれが一番近道なんじゃないかっていうところもあります。

西薗: そうですね、あれが出た時に僕が想像したのは、例えばアフリカ系の選手の台頭だったり、アジア系の例えば陸上から転向した選手とか、そういうのが溢れるみたいな世界だったんですけど、実態は全然違いましたね。まあ思ったより各国のエンデュランススポーツのアスリートやサイクリングに近い特質を持つ人が、(サイクリングのような)特定のスポーツに向かわせるというのが難しいことなんだなっていうのをなんとなく感じたというか。例えば日本だと明らかにサイクリングに向いている人たちは駅伝とかに取られると思うんです。エンデュランスのプロスポーツでちゃんと食っていけるスポーツって、世界的に見ればサイクリングは大きくて、ヨーロッパ人ならそういう才能がある人はかなりちゃんとサイクリングに行ってると思いますが、日本だとサイクリングと同じくらいの人たちを陸上競技が養えるので、そこで相当持っていかれていていますよね。それで陸上に向かわなかった変わり者が、例えば私みたいな者ですが、偶然サイクリングサイクリングに行ってるんだなと。それは自転車に才能が集まらんわな、というところで、バーチャルプラットフォームがそれを乗り越えてきたりするんじゃないかなと思ったんですが、まだもう少し引きつけ切れていないかなと。それはZwiftに限らないんですけど、バーチャルサイクリングによるEスポーツ的なところのマーケティングがまだまだ足りないなというか、それはロードレースの間口でもあると自分は思っています。

<オーバーオール、ポジティブ>

小俣: 実際Zwiftが出てきて、バーチャルサイクリングが普及して日本のレースシーンって変わりました? 選手の質だとかスピードだとか安全性みたいなところで。

高岡: まあ変わったでしょうね。それはオーバーオール、ポジティブな変化ですね。やっぱり働いてる方々が一生懸命取り組もうとした時に、以前よりも取り組みやすくなったと思います。それにまずZwiftをやってみて、それから自転車に興味を持ったという方も少なからずいたりするので、そういうところはちょっと裾野が拡がって競技力がアップしたっていうところは、そういう意味では自転車ロードレースシーンに与えたインパクトっていうのは小さくないと思います。

小俣: なるほど。

高岡: まあオーバーオールポジティブ、と言いましたがやっぱりネガティブな面っていうのもやっぱりあって。効率がいいからとあまりにも室内トレーニングだけになって、これだけやってればいいじゃんとかってなると、実際それだけじゃあダメだっていうところがままあります。レース現場ではそういうのが散見されるというのはありますね。

小俣: フィジカルに優れた選手が増えたみたいな話を聞いたことはあるんですけど、それは結構感じますか。

高岡: そうですね……。選手の総合力の話になりますが、昔バーチャルサイクリングやスマートトレーナーが無かった時代は、強くて速い選手はやっぱりある程度の練習を積んでいた人が多かったです。そのある程度の練習っていうのは、ほぼ外で自転車に乗る練習なので、その中で最低限にコントロールや乗り方は身についてくるわけです。ただ今は、実際にリアルで自転車にはほとんど乗らないけど、毎日スマートトレーナーで負荷をかけているっていう人がいて、負荷に対する心肺機能であるとか筋力がどんどんついてくるんですよね。それでレース出てみると確かに速いんです。走ると速いけどそれ以外の能力は身についてないっていう人はあんまり昔は出現しようがなかったと思うんですけど、それが今は珍しくないですよね。それは結構顕著に出てきてますね。

小俣: 西薗くんはZwift以前のローラー台から出発してるみたいな話もありますが、

西薗: Zwift以前のローラー台発でその問題を起こした張本人なんじゃないかという気がしないでもないんですけど…(苦笑)。研究者目線でその現象に対してはまあそうでしょうねというか。現実世界でレースをするのが一番大事なことだとして、その準備として代替空間やっているところに、欠けてる面があるっていうだけの話なのかなと。

小俣: 欠けてる面が無くなれば、インドアだけでトレーニングするっていう方向性が無いわけでもなくなるんですかね。

西薗: 車の研究とかではよくシミュレーター使うわけで、車の研究者って結局シミュレーターで何を落としてるんだろうみたいなことを今すごく考えています。例えばいろんなレベルがあります。iRacingだったり、Assetto Corsaと呼ばれるものだったり。まあプレステのグランツーリスモみたいに、ハンドルコントローラーとブレーキアクセルを使えばある程度はまずトレーニングできますと。その次にモーションプラットフォームを使って振動を与えて、その感覚が実は大事なんだって言ってみたりとか。様々なレイヤーがあるんですけど、自転車のスマートトレーナーがあるところに、例えば傾いたりとか不安定さが再現できない以上は、その部分は鍛えられてませんよねっていう、まあそれだけのことなんだろうと思います。それはコンピューター技術の限界だなというところもあって。もっとリッチなソフトなら他の刺激をくわえて補えていけるのかもしれませんし、そもそもリアルを最高峰って考えているのは、私たちがなんかそのロードレースの出身なので、外を走る方がすごく目指すべきもの、価値のあるものだと思いがちなんでしょうね。Zwiftアカデミーも外に向かっていく価値観がありますけど、どうでしょう、UCIのEスポーツ選手権はまた違うプラットフォームを採用していますが、あれはあれでバーチャルが一番だよと決めているわけで、そこは価値観の問題なのかなという気もします。ロードの選手いきなりポンとシクロクロス出てうまくいかないと一緒で、それは別のものだからねっていうので最近はそれはそれでいいんじゃないかって思っています。なかなかインドアでシミュレーションしきれなかったところがうまくいかなかったけど、それまで何もしなかったよりはすごく自転車を楽しめましたっていう人もいるだろうし。

小俣: そのあたりは先ほど高岡さんからあったオーバーオールでポジティブっていう言葉につながりますね。

西薗: 間違いないです。いやすごいなと思ったのは、Zwiftしか知らないって人たちが出てきてますよね。自分の友人とかもそうなんですが、運動の習慣がないITエンジニアが運動したいなという時に、Zwiftってものを聞いたことがあって、あるいはZwiftそのものの名前は知らなくても興味があるという人が結構やってみようかなってなっている。忙しいしジムに行くよりは安いし、なんなら実際のバイクを使うトレーナーだったら乗れるしみたいな感じで始めようかなっていう人もいたりして。

<ロードレースのチームワークをどこまでZwift内で再現できるか?>

小俣: 高岡さんからさきほど、ある程度距離に乗ってれば自動的に見に身につくスキルがあるという話がありました。今のロードレースで純粋に脚力じゃなくてそのスキルの部分で勝敗が分かれるっていうか、何かしらゲインを得られるっていう要素はあるんでしょうか。

高岡: めちゃめちゃありますよ。めちゃめちゃあります(大事なことなので二回)。先週もJBCFのレースで優勝したんですけど、ただ自分がこう勝てて調子は良かったんですけど、調子がいいと言っても出してるパワーなんてもう本当しれてるんですよね。それでもああいう風に勝てるっていうのは、本当に技術の差なんですよね。短い時間から長い時間まで自分よりもパワーを出せる選手って、あの中に少なくとも20人、いやもっといるはずなんですけど、彼らはその力を生かし切れてないというか。パワーウェイトレシオで上回っていても必ずしも勝てるわけじゃないというところがやっぱりロードレースのすごい面白いところだなっていうのを改めて感じましたね。その要素は一般的に思われているよりはものすごい大きいですね。

小俣: それは狙って身につけていけるものなんですか?

高岡: 少なくともそれがレースにおいて大きなウェイトを占めるっていうことを認識して、そういう意識を持っていないとなかなか身につかないんじゃないかなと。意識すれば身につくわけではないんですけど、少なくともそこの重要性っていうのはもっと一般的に強く認識されるべきところだと思いますね。

西薗: 高岡さんが今スキルと言うところにもいろんなものがあって、視覚運動というか、ちゃんとバイクコントロールができるっていうところ以外にも、例えば今の高岡さんのチームだと大前(翔)君がいて、沖縄でもそのチームプレイが非常に功奏して大前くんも勝ったという話もあると思いますが、チームプレイってZwiftのレースとかでも再現できそうなんですよ。でも意外とZwiftでチームプレイによって有効にこうレースを運んでるみたいな話とか、それによって技術を向上させているっていうのはなかなか聞かないので。そこらへんの要素をうまくこう取り込めるか取り込めないかってところで、将来のそのバーチャル環境が変わってくるのかなと。今のデバイスでもうまくエンハンスして、勝敗を分けるようなこともできそうなので、そういうのがあったらいいんじゃないかなと思いました。

小俣: それこそクラブチームが育成というか経験としてそういうレースをさせて、チームプレイを学ぶみたいなことをコーチが指示するような時代が来るかもしれないっていう。

西薗: チームプレイをうまくはめると、すごく勝てるみたいな環境ってできたりしないのかな、と。

小俣: 面白い。レースの実況をやらせてもらってて、「チームメートが何人残っているのでエースの誰々は有利です」みたいなことを言うんですけど、実際どれくらいそれが効果的なのかっていうのはあんまりわかんないんですよね、正直なところ。自分はレースをしてない人間ですし。

西薗: わかりにくいと思います、すごく。特に登りとか。

小俣: そう、登りなんか別に空気抵抗そんなに関係ないのではって思っちゃうんですけど。でもこういうプラットフォームで自分がレースを体験してチームワークを知ると、観戦する視点からも見方が増えそうだなって思いました。

西薗: そうですね。あと一般の人が多分大きなレースに出ないと体験できないことの一つが、集団の怖さだと思います。なんかそういうのがもうひとつ感じられるとやっぱいいのかなと。結構クルマのプラットフォームがそのあたり苦しんでいるというか工夫してるというか。バーチャルのクルマのプラットフォームって、レースをやるに時すごくインシデントに関するルールが色々敷かれているんです。1つでもポジションを上げるためには安全にクリアで行くことが序盤ではすごく大事で。もうほとんどインシデント起こさないで毎回走り切ればそれなり上に行けたりとか。そういうのもあったりするので、「怖い」っていう感覚を作れるか作れないかってところはバーチャルの大きな違いになるかなと思いました。

小俣: なるほどその集団の怖いっていうのは、あんまり他の選手に近づき過ぎると接触するよとか。バーチャルの方を現実の方に寄せていくっていうのは、単純に技術的な問題だけだと思うので、時間をかければまあ近づいていくのかなっていう気はしますけどね。

高岡: うーん……どうだろうな。近づきはするけど……

西薗: まあ全然一緒にはならないと思うんですけどね。というか別に一緒にならなくてもいいというか、逆に違った形で面白いゲームってもっとできるのかなと思っていて。でもそれってどうやったら面白さを感じればいいのかっていうのが。結局私たちがそのロードレースとのアナロジーで面白さを感じてる気がするので。だからインターフェイスとしてはスマートローラーなんだけど、違う何かをシミュレートしている面白いゲームなんだろうなって思ったりもするっていうか。

小俣: ここに2つの考え方があると思っていて。たぶん純粋にいわゆるロードレースっていうもの自体がすごく面白いというか、変数が多くて、読み切れなくてテクニックが必要で、一番データ的に強い人が勝つわけじゃないみたいなところも含めた複雑な面白さみたいなのがあると思います。それをゲームにそのまま移植しようとすると物足りなく感じる部分があるんじゃないでしょうか。EスポーツというかZwiftのレースで勝とうと思うような人は、やっぱりその外のロードレースを経験している人が大多数で、そういう人たちは多分ゲーム性のところでちょっと入りづらいのかなと。アイテム使って加速するとか、そういうものに対して、自転車競技はそもそもドーピングに敏感な文脈もありますが、パフォーマンスを何かでブーストするみたいなことを結構受け入れないんじゃないかなと思うんですよね。Eスポーツ世界選手権って言ってるけど、自転車に関してはいわゆるEスポーツの中でも相当フィジカル寄りで、そこがなんか他の格闘技ゲームとは超えられない壁としてあるような気もします。

西薗: そうですねなんかもっとピュアな形ではローイングのEスポーツ選手権がありますよね。

小俣: え、ボート競技にEスポーツがあるんですか。

西薗: 有名なデバイスを使ったやつがあって。少なくともローイングの実際に水の上で漕ぐ競技も予選はバーチャルでやっていたりします。あのブラッドレー・ウィギンスが一生懸命あれをフンフンフンってやってて漕いでいたりしたのがすごい印象に残ってるんですけど。なんかそこまでピュアというかハードコアな世界っていうのもありますね。楽しみ方はそれぞれで、それによってどれぐらい人がついてくるかもそれぞれですね、ということなんですけど。

小俣: ローイングとの関わりで言うとジェイソン・オズボーンっていうドイツの選手がいて、もともとローイングで東京オリンピック代表(編集部注:正しくはリオ五輪)の選手だったんですけど、それこそZwiftアカデミーで優勝してアルペシンとのプロ契約を勝ち取りました。結局彼は2シーズン走ったくらいでロード選手は引退して、今はなんかコーチング業みたいなことをやっているみたいです。やっぱりちょっとプロサイクリングのカルチャーに馴染めなかったみたいなことを本人も書いていて、やっぱりパフォーマンスだけじゃない部分のアジャストの大変さみたいなことも思わせてくれたりしました。ただローイングが相当身体的負荷が高いスポーツだっていうのはすごくよくわかるなぁと思いましたね。あとパリ五輪女子ロードの金メダリストのクリステン・フォークナーもたしかローイング出身だったと思います。

<Zwiftしか乗らないサイクリストの登場>

小俣: 西薗くんは前にポッドキャストSide by Side Radioで佐藤貴海さんというゲストがいらっしゃった時に、Zwiftの話を中心にされていましたね。

西薗: そうですね、Zwiftの話というかセットアップのところの話ですね。

小俣: 彼はアメリカ在住の方でしたけど結構Zwiftがハマってた感じでしたね。

西薗: 世の中には実物の自転車に乗りたくないという人はいるんですよ。実物の自転車は高いし、メンテナンスとか面倒くさいし。要はフィットネスが目的であって、事故のリスクとかも考えるとZwiftだけで完結した方がいいっていう人もいて。なのでZwift Rideをその彼は最初から選択したと。なのでスポーツバイクっていうものは移動用の自転車を除くと持ってないと。

小俣: これはSide by Side Radioの#169ですね。概要欄にリンクも貼っておくので、ぜひお聴きいただければと思うんですけど、4年前ですかね、ZwiftのCEOのエリック・ミンさんという方がいて、彼が来日したタイミングでインタビューをさせてもらったことがあるんです。その記事もまだオンライン残ってるんですけど、そこででてきたのは、プロの選手を輩出したりすることより、もう少し一般の人がもっとアクティブにスポーツをするように、フィットネスを高める習慣が増えるようにっていうのを目的としてサービスやってんだみたいな話をしていて。そういう意味ではすごく、佐藤さんの例っていうのはどんぴしゃなのかなと思いました。

西薗: あとある種の人々には間違いなくそういう傾向があると思うんですけど、なんかこう同じことをずっとこう繰り返していると一種の精神的なセラピーになるみたいなことがある気がしていて。またある種の人たちにはそれが全く受け付けない人たちもいて、そういう人たちもそれはそれですごく心当たりあるんですけど(笑)、その前者の方をちゃんと科学的に示したらすごく面白いんだろうなぁ最近思ってます。瞑想とか、そういうものに近いんじゃないかと。

小俣: マインドフルネス的な。だからパフォーマンス向上ってのを掲げててもそこが最大の理由じゃない部分もあるんでしょうね。今回Zwiftの方とやり取りしてた中で、Zwiftはブランドのメッセージとして外を走らなくていい、ということは決してないんだっていうのは言ってました。

西薗: 女子のツールのメインスポンサーをしてきたりとか、そういうところからもしてもすごく心意気を感じられるんですけど、やっぱりロードレースとの主従の従で語られがちだとは思うので、多様性があるってところをむしろ強調した方がいいのかなと思った次第です。

<パート1の終わりに>

小俣: そろそろパート1の〆に入りたいと思うんですけれども、高岡さんは今シーズンこのあともレースがあると思います。目標を聞かせてください。

高岡: 今シーズンの目標ですね。ずっと出てるグランフォンドの世界選手権がなんと自国開催とものすごい大きいイベントなので、ぜひ日本で2回目の優勝を飾りたいというのがひとつ。もうひとつがUCIグラベルっていうのが5年前に始まって、これまで3回出たんですけど、これもいつかはあの狙っていきたいなと思っていて。それが今年はオーストラリア開催で、自分にとっては時差で考えても有利だし、そのコースはあの以前走っていて自分に向いてるなと思っていたので、今年はこの10月のグラベル世界選手権の優勝を狙っていければと、この2つですね。

小俣: 今シーズンは非常に好調のように見えるんですけれども、順調に進んでる感じですか。

高岡: 今のところそうですね。もう40後半になる、今までだったら前年対比とかできますが、もうベースラインが下がってきてるので、今はどのレベルで良しとするかっていうのはよくわかんないんですよね。なので日々補正しつつ、昔よりも体力が落ちてきているっていうのをこう頭に入れつつトレーニングしてるのですが、今年はそれがうまくいってるのかなと。具体的に言うとやっぱトレーニング量はやっぱり少し意識して落とすようにして、無理のない範囲でちゃんと回復して質の高い練習をっていうのを心がけてます。

小俣: ありがとうございます。高岡さんのそのあたりのトレーニングに関しては、noteにつまびらかに書かれていると思いますし、そこでZwiftの活用なんかも結構見えますので、ご興味ある方はぜひご覧いただければと思います。

高岡: 本当に去年今年とZwift比率がどんどん増えてますね。今は外で自転車に乗るのは週2回ですね。これは今の環境だとそうなってしまうところもありますけど。第2拠点の稼働もありますし。

小俣: その話もありましたね。ぜひみなさんZwiftの活用法と合わせて第2拠点の話も、高岡さんの動向をチェックしていただければと思います。

高岡: 楽しみにしていてください。

小俣: 西薗くんはいかがでしょう。先程はちょっとバーチャルサイクリングの未来みたいな話もかすめたんですけど、今後Zwiftに期待するようなこととかがあれば。

西薗: やっぱり結局人と人が会うのが一番新しいところだったと思います。これはこれからYuftaさんがコミュニティの話の収録もされるということだったと思うんですけど、僕の親戚にもZwiftを通じて知り合った人と一緒に練習を始めたみたいな人もいたりして。

小俣: 西薗くんの親戚で? 

西薗: そうです。従姉妹のパートナーなんですが、今は普通に富士ヒルゴールドぐらいとめちゃめちゃ強くなっちゃったんですが、そういう人たちの話も聞くので。サイクリングを楽しんでいる人の中には外で、一人で走ってる人も多いと思うんですけど、そこを繋げるっていう機能が一番実は重要だったりするのかなと思います。トレーニングだけだったら正直どのプラットフォームもそれほど変わらない能力があるのかなという気もするので、Zwiftが持ってるならではの機能といえばやっぱりそういうソーシャルだろうという気もします。

小俣: ありがとうございます。ということでちょっとこの後またもう一方ゲストを招きしてZwiftの話も続けていきたいと思うんですが、まずはパート1として最強のアマチュアレーサー高岡さんと最強の頭脳派西薗くんをお招きしまして、あれこれ話す機会をいただきました。ありがとうございました。

ポッドキャスト書き起こし(パート2)

ゲスト:にんにん(パート2)
人気自転車YouTubeチャンネル「にんにんサイクル」のホスト。旅ライドを好むが、ロードバイクにここまでのめり込むきっかけはZwift。自らをZwiftオタクと称する。EMU SPEED CLUB/BIORACER DREAM TEAM所属。 X:@ninninclimb

ホスト:小俣雄風太
Arenberg編集長。執筆・ポッドキャストの運営のほかJ SPORTSではロードレース・シクロクロスの実況を担当。なんだかんだZwiftに乗っている。 X:@yufta

<静かなYouTube>

小俣:ここからは新たなゲストをお迎えしまして1on1でやっていきたいと思います。Zwiftのコミュニティの側面についてにんにんさんとお話します。よろしくお願いします。

にんにん:よろしくお願いします。にんにんサイクルというYouTubeをやっております、にんにんと申します。

小俣:実はにんにんさんとは今日が初顔合わせになるんですが、YouTuberとして活動されているということで、拝見したところ非常になんていうんでしょうか、品のある番組で……

にんにん:いきなり面白い感想ですね(笑)

小俣:いわゆるYouTuber仕草が本当にない、静かなYouTubeというのでしょうか。そういったところでかつ再生数というところで、支持されていることが数字に現れているという。ご自身のYouTubeチャンネルと活動についてお聞かせいただけますか?

にんにん: 自分で好きなことをやっている様子をそのまま動画にして番組として発信をしているのを好んで見ていただける方、そういう謎のマニア的な方が一定数いらっしゃって、ありがたいことに見ていただけているのでチャンネルが続いているかなという感じです。もう始めて4年前ぐらいになるんですけど、ずっと自転車を乗っている中で一度挑戦してみたかったキャノンボールという、東京から大阪あるいは大阪から東京を一日で走り抜けるチャレンジをきっかけに発信を始めたような形です。チャレンジの映像を記録として残して、それを編集をしてチャンネルに上げていくっていうようなスタイルで発信を続けています。

小俣:そのYouTubeを拝見するとにんにんさんはかなりZwiftを利用されているようですね。

にんにん:そうですね。Zwiftが、自転車に乗ってる時間の8割ぐらいを占めるんじゃないかっていうぐらいに。Zwiftは練習の手段でもあるんですけど、そもそもZwift自体がゲームとして大好きっていう性格なので、Zwiftラブ・Zwiftオタクと呼んでいただいても差し支えないくらい好きですね。

小俣:Zwiftの話に行く前に、にんにんさんがどんなサイクリストなのかもお伺いしたいんですが、かなりお速いサイクリストでいらっしゃる感じですね。

にんにん:そうですね……おそらくハマったら夢中になっちゃう性格が災いして、どこまでできるかっていうのを自分の体を使って試していきたくなってしまう性格なので、ついついのめり込んでしまうっていうのがあるように思いますね。

小俣:もともと自転車っていうのはいつ頃始められたんですか?

にんにん:ロードバイクだと今で8年ぐらいです。ただ自転車自体の魅力に触れたきっかけというのは20歳ぐらいの時に、一時期自転車で旅をすることが好きだった時期があって。ランドナーに憧れがあって、真っ赤なランドナーにフラットペダルにトゥクリップをつけて旅をしていた時期があるんです。当時、「水曜どうでしょう」というテレビ番組が好きで……

小俣:この収録を始める前に軽く打ち合わせして時にもしかしたらと思ったのですが、まさかどうでしょうの四国編の影響ですか。僕もつい数日前に四国編をNetflixで見たばかりです。

にんにん:本当ですか! 本当にそのとおりです。というか、それでしかない旅だったんですよ。私、静岡県に住んでるんですけども、静岡県って水曜どうでしょうの再放送が全国的にみても非常に早かったんですよ。僕が中学生ぐらいの時から再放送があって、10代後半の時からずっとのめり込んでいたんですね。で特にその中でも四国を一周する八十八ヶ所巡礼の旅が大好きで、あの四国のお寺に行って、お寺の前であのポーズ取りたいな、薬師寺のYってやりたいなって思っていたのを、自転車の旅と組み合わせたら面白いんじゃないかと思って。バイト代を貯めて輪行で尾道へ行って。そこからしまなみ海道を渡って、一番目のお寺、徳島の霊山寺を目指して旅をスタートしました。そんな四国を一周だったんですが、その時やっぱり自転車だとこんなに長い距離を移動できて、山もたくさん走るのも意外と楽しいなっていうことに気づいて。自転車って乗ってるだけでこんなに自由な気分になるんだなって思ったのが二十歳ぐらいの旅でした。

小俣:ロードバイクはそれからしばらくして始められたということですが、もちろんYouTubeもあると思うんですけど、今のサイクリストとしての活動はどのようなものですか?

にんにん:今の生活の中で自転車の楽しみにしているのが、Stravaのセグメントを挑戦するのが好きだったり、休日にロングライドをして旅っぽいライドをするのが大好きだったり、あとは年に1回出場を楽しみにしている富士ヒルですね。毎年ビオレーサー提供のドリームチームっていうチームに目標を決めて参加させてもらってるんですけれども、やっぱり集まるメンバーがすごく熱い志を持った人たちがいて、毎年すごい刺激を受けています。今この収録しているのが富士ヒルの1ヶ月ちょっと前ぐらいですが、富士ヒルに向けてまた今年も頑張るぞっていうのを楽しみにしてます。基本的には原点である旅が好きので、あんまりトレーニングが続く時はたまに気分転換で長い距離を気ままに走ったりして楽しんでます。

小俣:では今は1ヶ月後に控えた富士ヒルに向けて結構乗り込んでる感じですね。

にんにん:……と言いたいところなんですが、ちょっと今年仕事が非常に忙しく、例年ほど練習ができてないので、ほぼZwiftを乗っている状態です。なんと4月の下旬で今年外を走った回数がまだ4回という。サイクリストと言えるのかっていうような状態になっているところなんですよね。という意味ではZwiftをテーマにしているから言うわけじゃないんですけども、Zwiftがあって良かったというか、Zwiftがあるから楽しみながら
脚力を維持できているのかなみたいなところは思ったりしますね。

小俣:Zwiftはどんな風に乗っているんですか?

にんにん:ヒルクライムのレースに近づいてくるとワークアウトに取り組む日が増えていきますね。フリーライドとかレースっていうよりは自分の決めたメニューに沿って、例えば今日はSSTをやって明日は強度落としてLDをやって、次の日はインターバルだみたいなのを繰り返していくっていうような乗り方が多いですね。

小俣:もちろんばらつきあると思いますが、そういう乗り方だと一日どれくらい乗るんですか?

にんにん:平日は1時間から1時間半ぐらい乗ることが多いですかね。そのぐらいが生活のスタイルもありますけど、自分としてはちょうどいいかなぐらいの時間になっているので。週末もし雨だったり外を走らない日はZwiftで3時間とか、4時間のレースを走ることもあります。

<Zwiftの後で始めたロードバイク>

小俣:Zwiftとはどういう出会いだったんでしょうか。

にんにん:実は僕はロードバイクを買うよりも先にZwiftを始めたというかなり珍しいタイプかなと思います。クロスバイクはもともと移動の手段として持っていたんですが。大人になってからはスノーボードを夢中になっていたんですけど、仕事が結構忙しくなる時期でなかなか週末に遠くまで行くモチベーションが下がってきてた時期があったんですね。ちょうどそれがZwiftが日本に入ってきたぐらいのタイミングで、2016年ぐらいだったと思います。いろいろ好奇心の強いタイプなので、調べものをしている中でZwiftを見つけたんです。これ、ゲームとスポーツが一体化してて、しかも家の中でできるなら仕事が忙しくても毎日遊べるじゃんって。ゲームとして楽しそうだなっていうところからZwiftを始めてみようって思って、ローラー台を探しましたね。

小俣:先ほどの西薗くんからも、自転車は外では乗らずにZwiftだけ乗っている人がいるっていう話もありました。やっぱりZwiftから自転車に接点を持ったみたいな方の話ですね。もちろん大多数ではなくても、意外とそういう人がいるというのはすごいなと思いました。それで実際乗られてみて、いわゆるゲーム性みたいなところに結構ハマったんですか?

にんにん:ハマりましたね。もちろん最初のうちは乗ってるとFTPだったりワットみたいなのが上がっていくっていう楽しさもあったんですけど、イベントとレースっていうのがすごく存在として大きくて。バーチャルの空間でどっかの国の知らないサイクリストと競えたりとか、一緒に頑張って最後まで走るみたいな。しかもチャットを打ったりしてコミュニケーションを取りながらっていうのがゲームとして完成されていて、当時から今までずっとそれで夢中になっていて、今もまだ好きですね。

小俣:とはいえZwiftってフィジカルの側面が強いEスポーツだと思うんですよ。Eスポーツっていろんな種類がありますが、自転車のそれはかなりエンデュランスを要求される。そこの比重が大きいので、ゲーム性の部分はどれくらい担保されているのか気になります。例えばアイテムを使ったら加速するとか。

にんにん:ゲーム性も結構あります。そもそも現実とは明らかに違う挙動があったりするので、そのZwift中の物理演算のルールを覚えるっていうところから始まるんです。結構やり込んでいけばいくほどこのゲームの動きの癖みたいなのが分かってくるんですよね。実走ともちろん違う動きなので、レースに出たときはここで加速すると逃げやすいとか、心理戦でもあるので、集団がこういう状況に陥ったときはこのアイテムを使うのが一番勝てる確率が上がるぞみたいなのが、乗れば乗るほどだんだん見えてくるのが楽しいんです。それがZwift歴が長いアバターの人ほどうまいんですよ。
この人のこの逃げはうまいなとか。もちろん絶対パワーが高い人が勝つという前提はあるんですけど、ゲームとしてのアバターの扱いのうまさっていうのがあって。

小俣:例えばZwiftの世界大会みたいなレースで、優勝争い選手の走りをにんにんさんがご覧になると、やばいと思うわけですか。

にんにん:そうですね。そもそも世界大会レベルは圧倒的パワーを持っているので、その驚きもあるんですけど、やっぱり駆け引きとかタイミングを伺ったりというところが。アバターの微妙な位置取りから漕いでる人の心理状態っていうのが伝わってくるんですよね。

小俣:先ほどの二人との会話の中では、Zwiftのレースをやり込んでいないこともあり、Zwiftの中での挙動などを割と現実世界に寄せようとしているんじゃないかみたいな観点で話したりしましたが、もうZwiftの中でっていうものがちゃんと成立しているわけですね。

にんにん:そうですね。そのZwiftっていうゲームとしてのやり込み要素というか、攻略法は存在すると思います。もちろんZwift側はZwift側でなるべくリアルな動きとか空気抵抗とか路面抵抗みたいなものを目指しているっていうのはあると思うんですけど、ゲームはゲームなので、ゲームとしての走り方っていうのは存在すると思いますね。

小俣:それをいまやってくださいという訳ではないんですが、そういうセオリーを言語化することはできそうなんですか?

にんにん:できると思います。というかレースでこういうポイントで仕掛けたら逃げやすいよっていうのは、まとめたらいくつか紹介できたりとかっていうぐらいには明らかにありますね。今Zwiftの人口がすごく増えているので、それが分かってる前提みたいにもなってきているんですよ。速い人が集まるレースであるほど、みんなそれを分かってるので、その中で勝つにはどうしたらいいのってなると、脚力っていう。一周まわっちゃいましたね(笑)

<Zwiftとコミュニティ>

小俣:それにしてもこうしたレースを世界中の人と一緒にできるというのは、正直すごく画期的ことだったと思います。いろいろ機能も増えてきていて、ソーシャル部分は年々強化されている印象があります。2020年にCEOのエリック・ミンさんにお話を聞いたときも、今度リリースするクラブ機能が大きなフィーチャーになるんだと話されてました。実際Zwift内でのイベントとかも含めて、知り合いがどんどん増えていく楽しさもあるんでしょうか?

にんにん:すごくあると思っていて、実際に一緒に走る人とZwiftで遊ぶし、Zwiftきっかけで知り合った人と友達の輪が広がっていくっていうのもあったりしますよね。昔、Zwiftを始めたての頃にZwiftのレースで一緒に走っていて、衝撃的なスプリンタータイプの人がいたんですよ。それで名前を覚えていて。その後現実の世界で練習会に参加したときに、名前が同じ方がいたんですよ。もしかしてあのZwiftの?って聞いたら本人で。そういうある程度Zwiftで動きが分かってる人と実際に出会うと、あっあの時の人ですね、なんてつながりが生まれたりしますね。

小俣:Zwiftを起点としたコミュニティは日本にもいっぱいありますとね。例えばシクロクロスでMCをやらせてもらうことがあるんですけど、EMUって書いてエミュですかね、というチームが最近すごい存在感を発していたりとか感じてます。あれはZwift発のチームですよね。

にんにん:そうですね僕がまさに所属しているクラブチームがEMUと呼ばれているチームなんですけど、Zwiftのミートアップ・練習会がきっかけになってできたチームなんですよ。そこからどんどん人数が増えていって、ジャージも作って、レースもその名前で出るようになってっていうような形で露出するようになってきてるかなという風に思います。

小俣:Zwiftだけじゃなくてリアルの方に伸びていくっていうのはなんか面白いですね。やっぱりリアルとつながっている。

にんにん:おそらくなんですけど、参加していて思うのはアマチュアサイクリストはやっぱり平日は一緒に走ることがなかなか時間が合わなかったりでZwiftに頼る人が多いんでしょう。それで週末は一緒に走るっていうスタイルだと思います。その平日のトレーニングのモチベーションだったりあとは情報交換の場だったりっていうのもそういったZwiftをきっかけにしたつながりのコミュニティーが機能していると内側から見てても思いますね。

小俣:日本は人口が東京が一番多いわけで、高岡さんの話は東京で実走だけサイクリストをやるのは非常に困難だと。

にんにん:東京はそうですね。山を登ろうと思ったら山を登るまでに走るだけでTSSが増えますね。

小俣:高岡さんも普段は週の半分以上Zwiftで走られているようです。ところで実際にZwift内の日本のクラブチームも結構いくつもあるんですよね?

にんにん:EMUはそういった中でも初期の頃にできたチームだと思うんですけど、他にも有名なところで言うとJETTだったり、NICO-OZっていうチームのメンバーがものすごく多いですね。かなりジャージのデザインがオシャレです。所属人数で言うとものすごい数になるんじゃないですかね。クラブイベントに所属するとチームの一体感を高めたいっていう機運があると思うので、みんなジャージを作るんですよね。リアルの大会でも見かけることがどんどん増えているので、Zwiftチームが増えたっていう感じは特にこの数年すごく感じますよね。

小俣:チーム間の交流とかあったりするんですか?

にんにん:あるんですよ。Zwiftのクラブチームの大体が、 連絡方法としてDiscordを使っていて、クラブチームのチャットが集約されていることが多いんじゃないかなって思います。うちのチームEMUもDiscordにいろんなカテゴリーのチャットがあって、そこで日々雑談から自転車の機材相談からトレーニングの悩みから美味しかったお店まで、いろんな話が毎日のように飛び交ってますね。結構そのあたりはクローズドなので、なかなか表にも出てこない思います。わざわざSNSに公開したりもしませんし、クラブチームの中のノウハウが溜まっていっている、というのがこの数年増えているんじゃないかなっていう風に思いますね。

<Zwift/Discordが善意のインターネットを思い出させる?>

小俣:いやーなんかちょっと……話ずれるかもしないですけど、ちょっとこの数年TwitterというかXとかって正直終わってるじゃないですか。

にんにん:今「ちょっと……」って聞いた瞬間に僕は言いたいことを理解しましたよ(笑)ものすごく同意できます。そうですね、まともな人であるほど本音をもう書かないですよね。

小俣:なんか上っ面の役に立つ情報みたいなものばっかりの空間になってて

にんにん:まさにそうですね。特にインプレッション目当ての投稿がここ数年増えているので、本当に欲しい情報っていうのは見当たらないかなって思っちゃいますね。

小俣:僕はあんまりDiscord自体は活用していないんですが、そういうある程度担保されている、多少顔が見えるくらいのコミュニティのDiscordっていうのが、もう昔のツイッターとかのまだ善意のインターネットだった時代を代替しているんじゃないかと……

にんにん:いやーそうですねまさにまさに。そしてリアルへの回帰みたいな意味で循環しているんじゃないかっていう風に思います。僕も割と昔からのインターネット好きなので、ネットって善意で誰がが情報を残す、交換する、誰かが見つけてくれたらいいなって思う場であってほしい。なのでちょっと最近のSNSは特に数字ベースになっている感じが強いので、より仲間内だったりリアル回帰っていうのを個人的に歓迎するというか、そっちのほうがいいよなって。使うのもそっちが増えていくなっていう風に思いますね。

小俣:Zwift/Discordのラインでいわゆるソーシャルのつながりがあって、そこから一緒に走ったりイベントに出るという、リアルのほうに結実するみたいな流れってテクノロジー使いつつもすごく健全な今の人間のあり方なんじゃないかと思いました。

にんにん:スポーツって競技的な一面もありますけど、特にプロは競技が人生に関わってくるのでその限りではありませんが、僕とか本当にアマチュアのサイクリストなので、レースの結果はもちろんやりがいにはつながるんですけど、コミュニティとか誰かと楽しむとかみんなで走って楽しかったよね思い出になったよねみたいな積み重ねがその先にある充実感につながるっていうのは、長いこと続けていると思います。人と走ったり楽しいよねっていうのを共有できるっていうのは、スポーツのすごくいい側面ですね。本質的にはそういう面があるんじゃないかなって思います。関わりを作るっていう意味でのコミュニティは本当に大事な役割で、たぶんそれがあるから続いてるっていう人も多いんじゃないかなって思いますね。

小俣:たぶんZwiftはそういうところを考えて設計されているのだと思います。EMUだと今だいたい何人くらいは所属しているんですか? 

にんにん:人数をちょっと数えたことがないんですが、アクティブメンバーがたぶん一番実数に近いと思います。だいたい数十人っていう感じですかね。

小俣:シクロクロス会場に行くとすごく楽しそうしているEMUのジャージの人たちがいて結構目立っていますけど、あそこに自分も入りたいなみたいな人は入りようがあるんですか?

にんにん:EMUはメンバーをオープンには募集してないんですよ。最初の頃は割とメンバーを増やす時期もあったんですけど。EMUの名前の由来になっているえーぞうさんというリーダーがいるんですが、EMUはEIZO’s MEET UPからきているんです。Zwiftのミートアップ機能で練習会をしていた名残です。そのえーぞうさんがすごく采配がうまくて、EMUは同じメンバーがずっと固まってしまってサークルとかにありがちな自然消滅の方向にいかないように、面白い人がいれば新しいメンバーも入れて刺激が加わるんです。逆にあまりアクティブでないメンバーには話を通したうえで脱退という形をとってます。チームが継続するためにすごくしっかりと手をかけてくれているんです。入りたいっていう人がいてその全員が入れないわけではないんですけど、ある程度しっかり基準があってEMUっていうチームと相性がよい人がたまに入ってくるよねっていうイメージです。そのあたり本当にえーぞうさんというリーダーがいないとまとまらないですね。個性的な人が多すぎるので(笑)

小俣:それはなんとなくシクロクロスのレースとか見てても伝わりますね。でもコミュニティって本当にまめに手入れしないと荒廃しますもんね。人が外から見ていいなと思うコミュニティって、影の努力の元にできている。

にんにん:ほっとくと、目立ちたいだけの人が仕切りだして悪い方向に行ったりっていうことも本当によくあると思うので。なかなか今おっしゃったとおり見えない部分だと思うんですが。

小俣:やっぱりZwiftみたいなプラットホームで、そこ初のコミュニティでも最後は人がなんだな、と。平凡な帰結ではありますが、そうやって人っていうのがリアルに見える形で出てきたというのは、特にこの数年はひしひしと感じていて、その最たるものが富士ヒルクライムで。大会前日の土曜日はステージイベントがあるじゃないですか。名だたるゲストもいるステージがある中で、一番盛り上がってたのがビオレーサーのドリームチームのステージで。ちょっとアイドルみたいな感じがしました。僕はそのステージは担当じゃなかったので、普通にステージの袖で見ていたんですが、あのチームはZwiftと接点が深いのかなと思ったんですけど、どんな感じなんですか?

にんにん:僕も毎年ステージに上がらせてもらってるんですけど、ドリームチーム年々注目度が上がってるって感じていて。純粋にチームのみんなが頑張ってるから応援しますっていう人が集まってくれていて、いいチームになってるんじゃないかなっていうふうに思います。ドリームチームもZwiftをかなり活用したチームになっていて、それこそDiscordがあって練習会の日程だったり毎週定例でZwiftを使った練習もやったりしています。Discordの同時チャットをつないで話をしたり、もっと頑張ろうみたいな話をしたりとか富士ヒルに向けての攻略を話したりとかっていうのを毎週やってるチームなんです。Discordを活用し始めたのも、えーぞうさんがEMUとドリームチームの両方にいるので、EMUのノウハウを持ち込んでシステムづくりをしてくれたっていうことがとても大きいと思います。そこに熱い想いを持って入ってきてくれるメンバーが毎年いるので、そのメンバーと交流をして、同じ目標を持っているからこうやって頑張っていくといいんじゃないかなみたいな話をして教えあったりを毎週ボイスチャットをしてやってます。ただ練習会の中のボイスチャットなので、きつい練習をしている人はひたすら返事ができないんですけど。みんな仲良くなってくるとそれがわかってて、今この人L5やってるっていうのがZwiftでわかるので、わざと話を振ったりしていじめたりなんて仲の良さもあったりしますね。だんだんそうやって富士ヒルにむけて最初は知らない人同士だったのがちょっとずつ仲良くなっていって、リアルでも試走したりして最終的に富士ヒルの前日に集まってああいった場で意気込みを話す機会をいただいてます。そういった盛り上がり方をしてチームとしての一体感も増えていってるようなすごくいいチームだなって自分も数年所属させてもらって思います。

小俣:ここ数年は富士ヒルを走られていると思うんですけど、結構Zwift側も富士ヒル道場みたいな練習のプログラムを組んだりとしていて、そういう影響もあってか富士ヒルを目指す人の結構な割合の方がZwiftをやってるなっていうのが個人的な印象です。

にんにん:そうですね富士ヒル道場もメニューを組んでくれるんですけど年々内容のクオリティーがどんどん上がっていて、去年はかなり練習に混ぜてもらいました。特に1時間以上登り続けるような富士ヒルに向けて体力を上げていくって意味だと、Zwiftとの相性が最高なんじゃないかなっていうのをやっていて思います。20分ぐらいの峠は各地にあると思いますが、やっぱり1時間、カテゴリー超級にあたるような峠は近くになかったり、行くまでが大変だと思います。あってもそれが富士ヒルのスバルラインと似てるかどうか、みたいな問題もあると思います。Zwiftには本当に1時間乗れる登りがあるので、そういった意味でも実践的な練習は積めます。さらにそこに盛り上げイベントがあったりして、富士ヒルを目指すんだったらZwiftをやって損はないよねっていう温度感があると思います。自分自身の練習にも本当にZwiftが欠かせないので、ヒルクライムで速くなりたいんだったら最初は正直良い機材を買うよりもエンジンを鍛えるっていう意味でZwiftを始めた方が速く目的は達成されるんじゃないかなって。

小俣:実際この後、富士ヒルクライムのコース、いわゆるスバルラインのバーチャル版も走れるようになるようです。

にんにん:クライムポータルという、現実の山の斜度を再現したコースが定期的に有名な山に入れ替わっていくんですけど。富士ヒルの時期になるとそれを分かっているZwiftがマウントフジっていうのを出してくれるんですよ。

小俣:24kmくらいの?

にんにん:そうです。本当に長いです。Zwiftなんですけども登り始めたらちゃんと富士ヒル一本分登るまで終われないっていう。厳密にみると少しタイムがずれることもあるんですが、富士ヒルスケール感を体験するっていう意味ではすごくいいコースだと思います。おすすめです。

特別セールになるZwift RideとKICKR CORE2 Cog & Click、にんにんさんによる解題>

(中略)

小俣:お時間もいい感じになってきたので、最後にZwiftに対して言っておきたいこと、要望などがあれば。

にんにん:今更あるかなぁ……(笑)ここまででZwiftの話したいことをあらかた話してしまった気がするんですが、この8年ぐらいZwiftを続けているユーザーとしては、サービスが今まで通り続いて、Zwiftの中の人たちがますますどんどん面白いと思うことをそのままソフトにアップデートを加えていってくれたら、大満足で楽しんでいけます。ただ日本はその機材の面で発売されなかったり買えないものがあったりするっていうサービス面では不満があったりするので、そのあたり先々改善できるのであればやってもらえると日本でZwiftをやっている人は僕も含めて喜びます。

小俣:なるほど。今回のポッドキャストを聴いてZwiftを始めてみたいなと思った方は、ぜひ気軽に始めていただければと思いますが、今回Zwiftとのタイアップということで、日本のゴールデンウィーク合わせた特別キャンペーンが始まります。Zwift Rideという、サイズがいかようにも調節できる専用自転車デバイスがありまして、これがWahooのKICKR CORE2とセットになっていますが、非常に静かなZwift専用機です。

にんにん:これ、本当に静かですよ。すいません、割り込んでしまいましたが、僕、持ってます。

小俣:この段、打ち合わせしてなかったんですけど、にんにんさん持ってらっしゃるんですね。

にんにん:このあと2つ紹介されると思いますが、2つとも持っています(笑)

小俣:Zwift Rideは通常価格22万4000円のところが、18万0000円になります(編集注:放送中では18万9999円と伝えましたが、さらに安くなっていました)。

にんにん:そんなに割り引くんですか。これ相当に珍しいですよ、こんなに割り引くことってないですから。すごい安いですね。

小俣:台本で言わせたみたいになってますけど……そんなことはないんです。Zwiftの本国の方も結構気合いを入れたプロモーションなんだと言っていましたが、Zwift Rideが4万円安くなると。そしてもう1つ、こちらはスマートローラーのKICKR CORE2のCog & Clickというモデルで、WahooのスマートローラーKICKR CORE2にZwiftコグと呼ばれるスマートカセット、ちょっと変わったスプロケットと、さらにZwiftクリックというハンドル上に取り付けてそこで変速をするという、自分のバイクのシフターを使わずに変速できるZwift専用デバイスが付属します。このセットもお安くなりまして、通常9万9999円のところが8万0000 円(編集注:こちらも放送中では8万9999円と伝えましたが、さらに安くなっていました)になるという。さらに1ヶ月のZwift無料プレー権も付帯します。これ結構お得ですよね?

にんにん:話したくてウズウズしていたんですけど、こういうセールは非常に珍しいです。日本では基本的にZwift関連のギアというのは割引がないんですよ。毎回アメリカはこんなにセールしているのに日本は定価だよって思ってたんですけど、これは初ですね、日本でここまで割引くのは。そして今紹介されたCog & Clickというのも、実はKICKR COREが2になったタイミングでバージョン2というものにアップデートしていまして、シフト操作に加えてゲーム内でアバターの左右のハンドルコントロールができる機能が追加されているんですよ。さらに一般的なゲームコントローラーのように4つの押しボタンがついていたりして、Zwift内の操作をほぼすべてそのCog & Clickのクリックでプレイヤーを経由して完結することができます。起動さえすれば、ほぼスタートから終了までの操作をこのボタンだけで完結できます。僕もこれ持っていて、使っています。Zwift RideもKICKR CORE2 Cog & Clickも両方持っています(笑)

小俣:体は1つなのに……

にんにん:2つ持っています(笑)ここが僕の役目だと思ってしゃしゃり出ているわけですが、そのボタン操作ができるClickのついたKICKR CORE2のセットは、Zwiftを始めるなら、そのセットを買えってくらい本当にお勧めです。で、Zwift Rideの方は超静かです。それはRideはZwift専用設計なので、チェーンラインが最適化されていて静粛性が高いんです。ただ、自分の自転車をそのまま付け替えられるという手軽さではKICKR CORE2のCog & Clickセットのほうがいいかなという感じがしますね。これはZwiftオタクの独り言として聞いてください(笑)

小俣:そんなにお詳しいならZwift RideとKICKR CORE2 Cog & Clickの詳細を聞く回にすればよかったです(笑)ありがとうございました。


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